膣圧とは、骨盤底筋という筋肉の収縮で膣内にかかる圧力のことを言います。
骨盤底筋とは、骨盤底(下部)にある筋肉と靭帯の総称で、膀胱、子宮、直腸などの骨盤内臓器を支えて、排尿や排便のコントロールの役割を担っています。
図の骨盤底筋が弱くなると、日常生活の中で以下のような支障が出てきます。
骨盤底筋の筋肉が低下してしまう原因は、出産、加齢による女性ホルモンの低下、花粉症でくしゃみを連発する、肥満、便秘時に強くいきんでしまったことによって筋肉が痛んだり、緩んだりしてしまうなどさまざまなものがあります。
中でも最も骨盤底筋のダメージを受けるのが出産です。赤ちゃんが産道を通る時に大きく伸びてしまいダメージを受けてしまいます。ほとんどの人は機能的には出産前の状態に戻りますが、難産だったり、もともと骨盤底筋が弱かったりする人は出産後に元に戻らないケースがあります。
また出産後には問題がなくても、その後更年期等で女性ホルモンが低下することにより骨盤底筋の機能が低下することがあります。骨盤底筋の機能が低下すると、加齢に伴ってさらに膀胱、子宮、直腸など骨盤内の臓器が下がりやすくなり、高齢者になった時に尿漏れや骨盤臓器脱に繋がるので放置は禁物です。
自分では膣圧が正常かどうかわからないといった方が多いと思いますが、当院では膣圧計を用いて膣圧を測ることができます(1回550円 税込)。
膣圧の低下が気になるようでしたら、自分の指を膣内に入れてぎゅっと締めてみてトレーニングするのも良いと思いますし、トレーニングボール等のトレーニンググッズで感覚を掴んで行うのも良いと思います。姿勢を整えるだけでもトレーニングになります。大切なことは継続することです。
また、セックスをしていないと膣圧が下がるのではといった声も聞きますが、データがないので確実なことは言えません。ただし、セックスにアクティブな人は継続的にオーガズムを得やすいので、骨盤底筋も同時に鍛えられ膣圧維持をしていると考えられています。
骨盤底筋の筋力低下によって起るさまざまな症状に対して、膣トレーニングしても改善しない場合は、膣ハイフやレーザー治療が有効です。しかしそれでも十分な効果が得られない場合は手術適応になります。医師の診察を受けて適切な指導を受けるようにして下さい。